8月2日(月)行われた陸上男子走り幅跳びの決勝で、ギリシャのミルトス・テンドグル(ミルティアデス・テントグル)が8.41mを跳躍、キューバのエチェバリアを破って念願のオリンピック初の金メダルを獲得した。
テンドグルは決勝1回目の跳躍で8.11mを跳躍し3位につけた後、2回目・3回目を失敗。4回目で8.10m、5回目で8.15mを跳躍。最終6回目の跳躍でスペインのカセレスが8.18mを跳躍したことで4位に順位を下げた直後、背水の陣で臨んだ最後の跳躍で、1位のエチェバリアの記録8.41mと並ぶ8.41mを記録。次に跳躍したエチェバリアが最終6回目の跳躍を失敗した結果、2番目の記録が8.15mとエチェバリアの8.09mを超えたテンドグルが劇的な逆転劇で金メダルをつかんだ。
ミルトス・テンドグルは1998年3月18日ギリシャ北部の大都市テサロニキ生まれで18歳までを北部の町グレベナで過ごした。子どもの頃は趣味としてパルクールをしていた彼が陸上を始めたのは15歳の時で、パルクールの練習をするため町のスタジアムを訪れたテンドグルを見た陸上のコーチに才能を見出され、陸上の道を選んだという。2016年のリオ五輪では7.64mで予選落ちしたものの、2018年の欧州選手権(ベルリン)で1位、2019年の世界選手権(ドーハ)で10位と着実に実力をつけ、今年5月ギリシャで行われた第11回インターナショナル・ジャンピング・ミーティングで8.6mの記録をたたき出し、調子を上げて東京での大会に挑んだ。
スポーツ以外では音楽が好きだという彼は、公立の音楽学校に通った経歴がありギリシャの民族楽器ブズーキやギター、そしてピアノを演奏するという意外な一面を持っている。また、父が料理人という影響もあってか、幼い頃は料理人になりたかったといい、今でも料理は得意だという。
東京に向けギリシャを発つ直前、アテネ・マケドニア通信社のインタビューに応えたテンドグルは「私の目標はとても高いものです。思い出作りや楽しい思いをするために行くのではありません。勝ちに行くのです、それが叶うことを祈っています。これまでよくやって来た、成功すると信じています」と語り、彼の成功を待ち望むギリシャのファンに対して笑いながら「私に賭けてくれたら、きっと儲かりますよ!」とユーモアたっぷりに答えた。
テンドグルはギリシャ陸連選手団の一人として7月17日(土)ギリシャのホストタウンである事前合宿先の埼玉県三郷市入り。長時間のフライト、空港での検査や手続を経て17日午後宿泊先に到着したわずか数時間後の夕方には陸上の代表選手・コーチらとともにトレーニング場所であるセナリオハウスフィールド三郷を訪問。この時GreeceJapan.comに対して、日本のマンガやアニメを愛していること、お気に入りのアニメは「ワンピース」であることなど、日本語を交えながら日本に対する愛について告白。整った練習環境と市の支援体制に感謝しながら、メダル獲得に対する並々ならぬ情熱と自信について語った。
ミルトス・テンドグル選手が金を獲得した跳躍の映像はこちらから!
GreeceJapan.com「Tokyo 2020:ギリシャ陸連選手団、事前キャンプ先の三郷市に到着」