ギリシャのカトゥルガロス外相、記者会見で日希二国間の更なる協力を確認

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日本記者クラブで会見するカトゥルガロス・ギリシャ外相(Photo:Junko Nagata/GreeceJapan.com)

2019年4月16日(火)東京千代田区の日本記者クラブで15日(月)から16日(火)の2日間の日程で来日したギリシャのヨルゴス・カトゥルガロス外務大臣が日本の報道陣を前に記者会見に臨んだ。

会見でまずカトゥルガロス外相は、ギリシャと日本が1899年(明治32)に修好通商航海条約を締結して120周年の節目となるこの機会に、長年に渡って築かれてきた二国間の良好な関係を経済の分野のみならず、政治的、そして文化的な交流の分野においてもさらに強化していきたいと表明。また文化的交流の一環として、ギリシャで生まれた小泉八雲‐ラフカディオ・ハーンの作品をさらに広く一般に周知するとともに、あわせてハーンの作品を中等教育のカリキュラムに導入するための活動を推進していくとした。

続いて外相はギリシャの現状について言及。行政システムならびに経済モデルの改革の推進により、経済危機の際ピーク時には28%を記録した失業率が18%まで回復したとして危機からの回復をあらためて強調。同時にギリシャの地政学的な優位性を生かして、物流・運輸に加えエネルギーのハブとなることを目指すとともに、高い水準の教育を受けた若者の才能を活用、IT関連のスタートアップを支援し、海運分野、そして昨年度の入国者数が3,000万人を超え好調な観光分野の振興に注力していきたいと語った。

日本との関係については観光分野をはじめ、これまで未開拓のハイテク分野やアグリフードの分野についても新たに協力関係を築いていきたいと表明。記者会見に先立ち行われた日本の河野太郎外務大臣との会談では、二国間の協力によりバルカン諸国ならびに東地中海地域の安定のため尽力していくことを確認したと語った。

続いて行われた報道陣との質疑応答ではギリシャと中国との関係について言及。中国による対ギリシャ投資のうちピレウス港に対するCOSCOの投資について、中国側がピレウス港の所有権を保持していないこと、またギリシャの憲法上民間企業が港湾のような公的施設を所有することは禁止されていると述べ、ピレウス港の所有権をギリシャ側が保持していることを強調。外相はまたギリシャに対する中国からの投資がここまで話題になるのはピレウス港に対する投資が成功事例であるためであると語り、中国の持つ発展計画と国際的な物流のハブ化を目指すというギリシャの戦略との間に矛盾はないとした。

観光をはじめとした各分野におけるギリシャと日本の二国間の協力に関するGreeceJapan.com の問いに対し、外相は促進のための直行便の必要性について言及し、その前段階として、チャーター便の就航について検討を開始したと回答。またギリシャ・日本両国首相の訪問に関する問いについては、改めて日本の安倍晋三首相のギリシャ訪問に関する招待を正式に日本政府の関係者と確認済みであるとし、あわせてギリシャのアレクシス・チプラス首相の訪日を希望していると回答。また今年10月22日に実施が予定されている即位礼正殿の儀にギリシャからプロコピス・パヴロプロス大統領が出席に向け調整中であるとした。

カトゥルガロス外相は15日(火)午前日本のマスコミ2社に対するインタビューに対応後、河野外相との会談・昼食会に出席。続いて行われた滝波宏文・経済産業大臣政務官との会談後、16時から日本記者クラブでの記者会見と精力的に日程をこなし、同日夕方パリに向けて日本を出発した。

ギリシャの外務大臣の日本訪問は1996年(平成8)12月の当時のセオドロス・パンガロス外相の来日以降23年振り。

永田 純子
永田 純子
(Junko Nagata) GreeceJapan.com 代表。またギリシャ語で日本各地の名所を紹介する  IAPONIA.GR, 英語で日本を紹介する JAPANbywebの共同創設者。

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