2024年5月18日(土)東京・新宿区の早稲田大学戸山キャンパスで、ビザンティン美術研究者が様々な視点からビザンティン聖堂壁画を論じる国際シンポジウム『ビザンティン聖堂壁画の世界』が開催された。
今回のシンポジウムは2024年の「日本・ギリシャ文化観光年」の一環として、駐日ギリシャ大使館の後援のもと、早稲田大学総合人科学研究センター<イメージ文化史>部門の主催により開催されたもの。
研究発表では、瀧口美香・明治大学准教授が「聖母伝サイクルの東西——サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ聖堂(ローマ)とダフニ修道院(アテネ近郊)」について、益田朋幸・早稲田大学教授が「パナギア・ペリブレプトス聖堂(オフリド)の天使キリスト」について、菅原裕文・金沢大学准教授が「パラフレーズする絵画——キリスト昇架のイメージソース」について、辻絵理子・埼玉大学准教授が「アギオス・ニコラオス・オルファノス聖堂(テサロニキ)に描かれたふたりの女性」について、太田英伶奈・早稲田大学助教が「後期聖堂装飾におけるヨセフ伝サイクルの機能——オフリド、スヴェータ・ソフィヤ聖堂を例に」について発表。
また、ギリシャから後期ビザンティン美術研究の第一人者であるアナスタシオス・セモグルウ・テサロニキ大学教授を招き「聖山アトスのプロタトン聖堂:行程アンドロニコス2世パレオロゴスの政策の絵画による<エクフラシス>」と題した特別講演が行われ、講演後は国際シンポジウムにふさわしく、集まった聴講者らと英語やフランス語で活発な議論が交わされた。
会場には駐日ギリシャ大使館からスティリャノス・フルムジアディス次席が駆け付け、国際シンポジウムの成功を祝した。
なお、今回の国際シンポジウムの研究発表・講演の英語版は、2025年1月刊行の「WASEDA RILAS JOURNAL」にて発表される予定。
photos: Junko Nagata ©GreeceJapan.com