東京駅からほど近く、東京・大手町の片隅で人間に火をもたらしたギリシャ神話の神・プロメテウスの黄金に輝く像を GreeceJapan.com のウェブサイトのひとつ「iaponia.gr」で紹介してから10年あまり―。東京駅周辺の再開発の波にさらわれるように、いつの間にか神はその姿をいずこともなく消した。
「iaponia.gr」での紹介以降、東京を訪れるギリシャ人の中ではよく知られたフォトスポットとして語られて来たプロメテウス像の行方を追って、GreeceJapan.com が JXTGエネルギー社にその行方と由来を尋ねたところ、次のような事実が明らかになった。
これによると、プロメテウス像はその名を「プロメテウス『希望』の像」といい、旧日本石油の創立100周年を記念して全国の当時の日本石油系列特約店より寄贈されたもので、1988年(昭和63年)12月9日に除幕された。
像の製作者は文化勲章受章・文化功労者・日本芸術会員である彫刻家の富永 直樹氏(1913~2006)。プロメテウス神は聖なる「火」を人間に与えた神としてギリシャ神話に登場するが、石油は「火」として利用されたのが人類との係わりの始まりであることから、石油に関係があり、力強い男性的な「火の神」プロメテウスを題材としたという。
「希望」は、旧日本石油の第2世紀への第一歩をしるすにあたり、エネルギーの太宗を占める石油の「火」が燃えつづけることを願い、また特約店を始めとする旧日本石油(現・JXTGグループ)グループのますますの飛躍・発展を願い「希望」と命名されたという。
1888年(明治21年)の旧日本石油の創設から100年後の1988年(昭和63年)に除幕され、平成の時代を経て令和を迎え、実に30年あまりに渡って目まぐるしく変化する時代を見つめ続けて来た火の神は、いま JXTGグループの大手町本社1階に静かにたたずみ、明日のエネルギーの行方を見つめ続けている。
[col type=”half”]
[/col]
[col type=”half last”]
[/col]
photos: Junko Nagata © GreeceJapan.com