
アテネ・シンタグマ広場を訪れた者なら誰もが無名戦士の墓の前でその務めを果たす特徴的な伝統装束をまとった「エヴゾニ」と呼ばれる若者らを目にしたことがあるのではないだろうか。
今回ご紹介するのは、ギリシャ・ペロポニソス半島に位置するスパルタを本拠地に、ギリシャの近現代史を美しい歴史的装束で写し取ろうと試みる写真家イリアス・ペルガンディスだ。
ペルガンディスは、ギリシャがオスマン帝国からの独立に向け立ち上がった1821年(文政4)、ギリシャにとって最も重要な記念日である3月25日の独立記念日の当時の歴史と伝統をテーマにした写真プロジェクト「私は忘れない(Δεν ξεχνώ/デン・クセフノ)」を2017年(平成29)に立ち上げた。

プロジェクトの中心となるのは伝統装束を身にまとい、自由を求め立ち上がった当時のギリシャ人の姿だ。各地独自の文化を色濃く映し、頭からつま先まですべて手作業で作り上げられたその装束の数々は、単にギリシャが独立を勝ち取るまでの歴史を留めるだけでなく、ギリシャ伝統の職人技を今に残す貴重な証人としても大きな意味を持っている。
撮影のためギリシャ各地を訪れたペルガンディスは、各地の文化関係者らを始めとしたボランティアらと協力。これまでギリシャ全土のおよそ25の関係団体の200人以上に及ぶ人々とともにこの作品を作り上げている。GreeceJapan.comの取材に対し、あと3年あまりで完結する予定と語るこのプロジェクトの行方が注目される。
[イリアス・ペルガンディス]
ギリシャ・ペロポニソス半島のスパルティで経済学者として働くかたわらアマチュアカメラマンとしても活動する37歳。2017年から2018年にかけてスパルタ写真クラブの会長を務めた彼の写真は、ギリシャのみならず世界各国のコンテストで選出されている。





ペルガンディスのプロジェクト「デン・クセフノ」のこの他の作品は彼の Facebook から。
Photos © Ilias Pergantis