10月の初め、神戸でオリーブの盆栽を集めた展覧会が開催されたことはご存じだろうか。
展覧会と同時にオリーブの盆栽作りのワークショップも開催された今回、神戸展の開催に携わったひとりであり、大阪にある「エスティア日本」の代表を務める戸出よしえ氏に、ギリシャを代表する象徴として誰もが思い起こすオリーブの樹と日本の伝統である盆栽とを結びつけた「オリーブの盆栽展」について、また関西におけるギリシャとの結びつきについてお話を伺った。
・インタビュー/永田純子(GreeceJapan.com)
オリーブの盆栽だけを集めた盆栽展「2014オリーブの盆栽展 in KOBE」の開催おめでとうございます。はじめに、このようなオリーブの盆栽だけを集めた展覧会を開催されるに至った経緯についてお聞かせください。
盆栽を廃れさせてはいけない、盆栽の将来をなんとかしたいと思っているお二人の情熱で実現しました。有名な盆栽家・秋山実さんと、盆栽がご趣味でオリーブを愛してやまない冨澤亮司さんです。私はお二人の想いに共感しました。そしてオリーブ盆栽展のお客様にもっとオリーブを楽しんでいただけるよう、ギリシャ産オリーブオイルの試食販売やオリーブウッドのアクセサリーを展示販売でお手伝いさせていただきます。
オリーブというギリシャの代表的なイメージのひとつと、盆栽という日本の誇る芸術を融合させた「オリーブの盆栽」というアイデアはいつどのように生まれたのでしょうか。
実は海外から逆輸入された日本文化のひとつなのです。いま日本で盆栽を楽しむ人口は減り続けています。いっぽう、ヨーロッパやアメリカをはじめとした諸外国で「BONSAI」愛好家はどんどん増えています。彼らは和風の木に憧れを抱きつつもなかなか手に入れることができません。仕方なく手に入りやすい木で「BONSAI」を楽しむわけですが、その中のひとつがオリーブでした。日本人から見ると『オリーブ盆栽』は思いつかない組み合わせです。でも、これが結構おしゃれで、洋風化した今の住宅にとても良く合うんです。
神奈川、東京、神戸とこれまで日本各地の様々な場所で盆栽展を開催されておられますが、日本の、またギリシャ人の観客の方々からどのような反響があったのでしょうか。
とても喜んでいただいています。会期中は、ギャラリーが「オリーブ体感ワールド」になりますので。
私自身もオリーブ盆栽を経験したことがあるのですが、日本の伝統文化「盆栽」をとても身近に感じることができて、自国の文化を見直すきっかけになりました。今回の神戸のワークショップも人気で、すでにたくさんの方からご予約をいただいています。
今回盆栽展を開催される地であり、また在芦屋ギリシャ総領事館を至近に擁する神戸をはじめとした関西地域において、ギリシャと日本を取り巻く状況はどんなものでしょうか。
戦後は関西にもギリシャ風のタベルナがあり、ギリシャとの交流も活発だったと聞いています。しかし今では在留ギリシャ人も数えるほどで、イベントを開くのもなかなか困難です。かなり少数派ですね。
今回の盆栽展の主催者である戸出さまについて、また戸出さまの会社・エスティア日本についてご紹介ください。
オリーブオイルひとつをとってもそうなのですが、私はギリシャにはユニークで品質のいいものがたくさんあるのを知っています。エスティア日本では、特にヒオス島産マスティハや山のお茶、エキストラバージンオリーブオイルを手始めに、そんなギリシャの“エエもん”(大阪弁で、品質のいいよそにはないものの意味です。)を集めて日本のみなさんにご紹介しています。
今後の盆栽展・ワークショップのご予定をお聞かせください。
この後、オリーブ盆栽展は2014年10月25日-11月3日で東京・玉川学園のギャラリーで開催されます。
2015年の予定は、同じくオリーブの実が生る秋頃に東京・神戸、そして新たに九州の3か所で開催される予定です。オリーブの盆栽の展示だけでなく、オリーブを楽しめる展示会に発展させていければとの主催者さまの言葉です。
ワークショップ(盆栽教室)については、毎月一回、神奈川(相模原)と神戸、不定期で東京で実施されています。尚、苗の植え替えに好ましくない1月-3月はお休みということです。
それでは最後に、日本とギリシャの、そして日本とギリシャを愛する世界各国のGreeceJapan.comの読者の皆さんに、戸出さまからメッセージをお願いします。
日本人の中でも関西人はおしゃべり好きで、しゃべり声が大きいといわれています。これはギリシャ人との共通点ですね。私はFacebookで「ギリシャ・ファンクラブ関西」というページを作っているのですが、これからどんどんギリシャと関西、そしてギリシャと日本の交流がすすむことを願っています。
(写真提供:秋山実/冨澤亮司(オリーブワールド))