日本では2004年アテネオリンピック閉会式でギリシャ伝統の婚礼歌を披露した印象的な姿で知られる優れた歌手にしてギリシャの伝統音楽の研究者であるドムナ・サミウが3月10日夜、入院先のアマリア・フレミング病院で白血病により84歳の生涯を閉じた。
ドムナ・サミウは1928年10月12日アテネのケサリアニ生まれ。13歳の時ビザンチン音楽とディモティキ(民謡)音楽、そして現地調査の理論との初めての接点を持ち、夜間学校に通いながら著名な音楽学者かつギリシャ音楽の伝統の研究者でもあるシモン・カラス氏の傍らで学んだ。同時にシモン・カラスのコーラスの一員として当時の国立ラジオ協会(EIP)と関わり、続く1954年にはラジオ局の国立音楽部門に採用された。
1963年にはみずから録音機を携え、自身の研究材料としてギリシャ各地方に現地調査と音楽の収集の旅を始めた。1971年にはラジオ局を退職、初めての公演を果たし、これ以降サミウは伝統音楽との関わりへと大きく進路を転換していった。
1981年には伝統音楽の保存と演奏、特にレコードの発売と厳格な学問的及び良質な計画に基づいたセミナーの運営を目的として、レコード会社の商業的要求から独立した「ドムナ・サミウ伝統音楽芸術協会」を設立した。
その精力的な活動に対し、2005年当時のギリシャ大統領コスティス・ステファノプロスからメダルを授与される栄誉を頂点として数多くの賞を受賞している。
ドムナ・サミウの葬儀はネア・スミルニ市の墓地で13日火曜日午後3時から執り行われる予定。