アテネを旅するなら、訪れる価値のある場所として、シンタグマ広場から徒歩5分のユダヤ博物館を忘れてはならないだろう。
ユダヤ博物館(The Jewish Museum of Greece)は、2,300年以上に渡るギリシャにおけるユダヤ人の暮らしの物理的な証拠を収集、保存、研究、展示するため、1977年(昭和52)に設立された博物館だ。歴史・民族学の博物館として、ユダヤ人の暮らしと文化、歴史と伝統、ギリシャのユダヤ人コミュニティの時代を超越した多面的な特徴の研究と紹介を博物館の主要なテーマとして堅持している。
博物館の収蔵品は多岐に渡り、ギリシャ系ユダヤ人の日常的・宗教的生活、そして彼らの歴史的な歩みを示す1万点にも及ぶ様々な文物、写真、文書、アーカイブで構成されている。このうち常設展示では、シナゴーグや宗教的な道具、暦、伝統的な衣装、ホロコースト、生命の循環、ギリシャ系ユダヤ人の歴史と伝統などといった様々なテーマが展示されており、展示室の1つはホロコーストのために捧げられている。
ギリシャにおけるユダヤ人の存在を示す最初の証拠は、アッティカ地域で発見された紀元前300~250年頃の碑文であるという。また、聖なる島・デロス島には最古と言われているシナゴーグの遺跡が残され、その起源は1世紀にまで遡るとされている。
ギリシャ系ユダヤ人の大半はセファルディムであり、その祖先は1492年スペインから追放された。彼らの大多数はギリシャ北部の大都市テサロニキに移り住み、16世紀から18世紀にかけて、テサロニキのユダヤ人コミュニティは世界最大のコミュニティのひとつに数えられるまでに成長した。
バルカン戦争(1912~1913年)後にはギリシャ系ユダヤ人の数は10万人に達したが、第二次世界大戦中、ギリシャのユダヤ人コミュニティはその多くが死の収容所に送られ虐殺されたことから壊滅状態に陥った。その損失は戦前のギリシャのユダヤ人人口の87%に達し、ヨーロッパで最も高い損失率のひとつとなった。現在ギリシャには、約5千人あまりのユダヤ人が暮らしているという。








博物館のウェブサイトには、バーチャルツアーも用意されている。
Jewish Museum of Greece
Nikis 39, Athens 105 57
www.jewishmuseum.gr
開館時間:
月曜日から金曜日: 9.00-14.30
日曜日:10.00-14.00
土曜:定休日
入場料:
大人 10ユーロ、学生 8ユーロ、高齢者 (65歳以上) 8ユーロ
[ アクセスマップ ]
写真をご提供くださいましたギリシャのユダヤ博物館に感謝いたします。
photos © Jewish Museum of Greece