欧州連合(EU)加盟国の在日大使館や文化機関が自国の注目作品を選び、一挙に上映する映画祭「EU フィルムデーズ(EU Film Days)」が、今年は初めて「アニメーション」にフォーカスし開催される。
今回EU各国が厳選した短編・長編あわせて全44作品(長編13本・短編31本)のアニメーション作品が上映される中で、ギリシャからはザカリアス・マヴロイディスの「キャット・ポスタール(Cat Postale)」が、キプロスからはミハリス・カロぺディスの「オウムの彼女(The Parrot Lady)」、マリア・トマズの「竜巻(The Tornado Outside)」、ヨルゴス・チャンガリスの「春の儀式(Rites of Spring)」が上映される予定。
[ EU Film Days 2025-開催概要 ]
大阪(テアトル梅田)2025年5月9日(金)~5月29日(木)
東京(シアター・イメージフォーラム)2025年6月28日(土)~7月11日(金)
名古屋(キネマノイ)7月下旬
福岡 (福岡市総合図書館映像ホール・シネラ)2025年8月20日(水)~8月24日(日)、8月27日(水)~8月30日(土)(9 日間・予定)
京都(京都文化博物館)9月(予定)
[ ギリシャ・キプロス作品詳細 ]
短編プログラム②感情と絆
「オウムの彼女(The Parrot Lady/Η γυναίκα με τους παπαγάλους)」キプロス/日本初公開
監督:ミハリス・カロぺディス(Μιχάλης Καλόπαιδης)/2020/キプロス/6分
自分の家があるにもかかわらず、3羽の愛するオウムを連れて路上で暮らすことを選んだ老女の物語。語り手は海辺の街を彷徨う彼女を観察し、なぜ路上生活を選んだのかと尋ねる。彼女は一体何を思い、何を恐れていたのか――?実話をもとに独特のタッチで表現されるアニメーションは、観る人に孤独とは何かを問いかける。
短編プログラム③日常とうつろい</strong
「竜巻(The Tornado Outside)」キプロス/日本初公開
監督:マリア・トマズ(Μαρία Τομάζου)/2023/キプロス/8分
アンナの家は一見、とても暮らしやすそうで完璧に見える。しかし一度扉を開けると、広がるのは宇宙空間! しかもそこでは、あらゆる物を巻き込んだ竜巻が轟々と渦巻いていた。家の鍵が風で飛ばされてしまい、取り戻しに行く途中でアンナは、長年避け続けてきた家の外のカオスと向き合うことになる――。
「春の儀式(Rites of Spring)」キプロス/日本初公開
監督:ヨルゴス・チャンガリス(Γιώργος Τσαγκάρης)」2021/キプロス/4分
物語の舞台はかつてのキプロスの田舎。そこではギリシャ教正教の伝統と、放浪する劇団の価値観とが衝突していた。2000年にコスティス・コロタスが発表した「未完の小説」にインスパイアされ、版画をベースにしたアブストラクトなイラストレーションによって、過去の美しい世界のイメージを鮮烈に描き出した実験的なアニメーション作品。
短編プログラム⑤欲望と秘密
「キャット・ポスタール(Cat Postale)」ギリシャ/日本初公開
監督:ザカリアス・マヴロイディス(Ζαχαρίας Μαυροειδής)/2022/ギリシャ/9分
思春期を迎えつつある野良猫のシャンタル。観光シーズンが終わりに近づくとともに、彼女の故郷はゴーストタウンのように寂れた風景へと変わっていく。仲間の猫たちとともに、彼女はその小さな島を巡る旅に出る。目的は、アクアレルという風変わりな男性を探すこと。彼こそが自分と一緒になるべき存在だと信じているのだ。思春期という誰にでも訪れる道程に直面する瞬間を映し出した、ギリシャ発のノスタルジックなアニメーション。