
日本三名橋の一つ・錦帯橋で知られる山口県岩国市。瀬戸内海の魚介類、錦川の鮎、中国山地の山の幸といった美味に恵まれたこの地に、明治4年(1871年)蔵を構えてから150年の歴史を持つ銘酒「五橋」の蔵元・酒井酒造株式会社が、ギリシャ語で名付けられた3つの日本酒を醸し話題となっている。
今回、錦川にかかる五連の反り橋・錦帯橋に由来する「五橋」が発表したのは、νερό(ネロ―)、φύση(フィスィ)、μείγμα(メイグマ)と名付けられた三つの日本酒。蔵元によれば、商品の特徴を表すため、外国語で表現をしようという話になり、ありきたりでない国の言葉を検討したところ、今年2021年がオリンピックの開催年であったことから、オリンピック発祥の国の言葉、ギリシャ語を採用するに至ったという。
νερό(ネロ―)は日本酒の伝統的な製法のひとつである「そやし水」を使用して造られた酒。「そやし水」が商品の一番の特徴であるため、「水」を表すνερόを商品名に用いたという。クリアな香り、まろやか豊潤で余韻を長く感じられる酒。
φύση(フィスィ)は日本酒の伝統的な製法の「生(き)もと」により造られた酒。最近の生もとでは酵母を添加したり、乳酸菌を添加したりすることがあるが、このφύσηの仕込みでは副原料の添加を行っていないという。無添加(自然な造り)であることが商品の一番の特徴であることから、「自然」を表すφύσηを商品名に用いている。力強い野性的な香り、濃厚な味わいながらキレがある辛口の酒。
μείγμα(メイグマ)はタンクで貯蔵しているお酒をブレンドして商品化した酒。異なる酒質の酒をブレンドをしたことが商品の一番の特徴であることから、「混ぜる」を表すμείγμαを商品名に用いたという。穏やかな香りでキレのある辛口。酸味に特徴がある酒。
困難な状況の中、世界各国から集まったアスリートたちの活躍も記憶に新しい東京2020オリンピックが開催された今年、そのオリンピック発祥の地・ギリシャの言葉、ギリシャ語を採用した3つの日本酒は、日本とギリシャ、二つの国の交流の歴史に新しい一ページを加えている。