GreeceJapan.com独占インタビュー:身体が語る言葉を紡ぐ・ギリシャ人振付家アシナ・ヴァフラ

東京池袋の東京芸術劇場シアターイーストで今年3月30日(土)・31日(日)の2日間に渡って行われたIntegrated Dance Company 響-Kyoの第6回公演で、ギリシャ人振付家のアシナ・ヴァフラ(アティーナ・ヴァーラ/Αθηνά Βάχλα)が振付・構成・演出する「エクキュクレマ(Ekkyklema)」が上演された。

車椅子を利用するダンサーとこれを必要としないダンサーとがヴァフラの演出によりともに「そこに在りうべきもの」として一体となり不思議な調和を醸し出す舞台は、集まった観客に強い印象を残した。
公演後 GreeceJapan.comは「エクキュクレマ」を作り上げたヴァフラ氏に独占インタビュー、お話を伺った。

聞き手:Junko Nagata-GreeceJapan.com


今回どのようなきっかけでIntegrated Dance Company 響-Kyoのメンバーと「エクキュクレマ」を制作しようと思われたのでしょうか。

2018年6月にカンパニーの代表・伊地知裕子氏に招いていただいたのがきっかけです。カンパニーのメンバーと交流を持ち、彼らのためにダンス作品を作り上げることを目的に、この時2週間日本に滞在しました。

障がいを持つダンサーとどのようにして作品を作り上げられたのでしょうか。

カンパニーには障がいをもつダンサーが所属していますが、作品の中で私は彼らを分け隔てしませんでした。障がいについて特別に考えることはありませんでした。
障がいとは、私たちが日々生きる上で様々にある「何か」の一部であり、私はそれぞれの身体(からだ)を、我々ひとりひとりが持つ「何か」の中でも最も特別なものとしては捉えず、あるがままの身体(からだ)として見つめていました。
すべてのダンサーに同じやり方で臨みました。舞台では皆、等しくひとつの海に漂う者であり、どうにかして泳いでいかなければならないのです。

「エクキュクレマ」を日本で上演されるのはこれが初めてでしょうか。またギリシャでの公演は考えられていますか。

ええ、日本ではこれが初めての公演です。もちろんギリシャでも公演したいと強く願っています。日本で公演したものとまったく同じものではありませんが。
そうですね、ギリシャ人ダンサーと日本人ダンサーをダイアログを交えながら同じ舞台の上で演出することが出来ればと思っています。そして舞台の後、トークセッションの機会を設けてダンスについて話し合ったり、ギリシャと日本のアーティスト同士の触れ合いの場を持ったり出来ればいいですね。

この公演の後、どのような計画をお持ちですか。

まずは、ロンドンでの博士課程を終えようと。この作品の演出のために一時的に休学しましたので、他の計画に移る前にまず博士課程を修了するつもりです。
その後、日本の伝統舞踊について学ぶとともに、能や狂言のワークショップに参加するために再び日本を訪れることを計画しています。もちろん日本の伝統舞踊やダンスを研究する上で、より良くこれらを理解するためにも日本語を学びたいと考えているところです。

ありがとうございました。あなたの情熱が日本とギリシャのエッセンスを取り入れた新しい作品を作り上げ、これを日本で楽しむことができる日が来ることを心から祈っています。

公演後のトークセッションで熱く語る出演者らとヴァフラ氏(左)
公演に訪れたカキュシス駐日ギリシャ大使とヤナカル大使夫人、ヴァフラ氏、伊地知裕子代表
公演後満面の笑みを見せる「エクキュクレマ(Emkyklema)」出演のダンサーらとヴァフラ氏

 

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