ギリシャ・フロリナ市のカト・クリネスに咲く桜の花(photos)

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ギリシャ・西マケドニア地方フロリナ県の県都、フロリナ市から北に約8kmの美しい村カト・クリネスでは、咲き誇る桜の花が村に一層の美しさを添えている。北マケドニアとの国境からほど近いこの村には、ソメイヨシノをはじめとする9種類の桜の樹が植樹されている。

GreeceJapan.comは私費で桜の植樹に係る費用を負担し、自動散水装置を設置したニコス・クルペトログル氏にインタビュー。植樹と樹木の維持管理はニコス氏と彼の父・ディミトリス・クルペトログル氏により行われているという。

ニコス氏は桜の植樹について、「村に桜の花を植樹するという考えは、私が2006年自宅の庭に日本の桜、モクレン、カエデを植えた時に始まりました。この時私は、村の様々な場所に桜の樹があればそれはどんなに素晴らしいだろうか、と思い至ったのです。そこで私はまず、イギリスから7~8種類の裸根の桜の樹を入手し、2009年に村の入口の川端に17本、広場に13本、そして村のさまざまな場所に5本の樹を植樹しました。いくつかの樹は友人たちに譲りましたが、彼らは自分たちの庭にこれを植えたそうです。現時点で、村の入口に植樹するため更に10本の苗木を植木鉢で育てているところで、秋にこの苗木を植樹できればいいと考えているところです。」と語ってくれた。

カト・クリネスでさらなる広がりを見せる桜の植樹について、ニコス氏は次のように続けた。

「私が村の広場に桜を植樹している時、たまたまそれを目にした10人ほどの子どもたちが私にこう尋ねたのです。『おじさん、何の樹を植えているの?』とね。私は子どもたちに『これは日本の桜の樹だよ』と答え、その咲く様子を写した写真を見せました。そうすると、子どもたちはお手伝いしたいと、ある子どもは水を運び、ある子どもは私に樹を手渡してくれ、またある子どもはシャベルを運んできてくれたのです。そこで私は子供たちに『もし、君たちがこの樹の面倒を見てくれたら、この樹が成長した時 ”この樹を植えたのはわたしたちなんだ!” と言えるんだよ』と伝えたんです。

植樹後には、村のフリスーラおばさんとスタスーラおばさんの二人が私の助手として、植樹した桜の樹に悪さを働く者がいないかと、冥界の番犬・ケルベロスのように見張ってくれていたのです!

昨年は3月25日にマイナス10度の寒波が村を襲ったため、桜の開花は思わしくありませんでした。しかし今年は素晴らしい開花の時期を迎えることができ、村の多くの住人が口々に『我々の桜の樹は今年素晴らしい花を咲かせた!』と褒めたたえてくれました。風が吹き、桜の花びらが雪が降るように落ちたその時、広場一面が桜色に染まっている…なんて素晴らしい光景だろうか、と言ってくれたのです。」

春に咲く桜の樹のほかに、ニコス・クルペトログル氏は、季節が進むにつれその葉が美しく色づくという11月頃に咲くヒガンザクラ(Autumnalis Rosea)も植樹している。

最後にニコス氏はGreeceJapan.comに対し「桜の咲く時期に行う夜桜のライトアップについても、少しずつ周知を図っていく予定です。それは素晴らしい光景となることでしょう」と結んだ。

写真提供:ヤニス・ミツィス、ニコス・クルペトログル

[ カト・クリネスの地図 ]

永田 純子
永田 純子
(Junko Nagata) GreeceJapan.com 代表。またギリシャ語で日本各地の名所を紹介する  IAPONIA.GR, 英語で日本を紹介する JAPANbywebの共同創設者。

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