2020年の第33回東京国際映画祭の「TOKYOプレミア2020」部門で上映され好評を博し、日本での一般公開が待ち望まれていたギリシャの新進気鋭の監督クリストス・ニクの「アップル(ミラ:Μήλα:Apples)」が『林檎とポラロイド』の日本語題で2022年3月11日(金)からビターズ・エンドの配給で全国公開される。
『林檎とポラロイド』を監督したギリシャのクリストス・ニク監督は1984年生まれ。映画やCMのアシスタントディレクターとして活動しつつ、ギリシャのヨルゴス・ランティモス監督の助手のほか、様々な監督と映画制作に携わり、2012年には初の短編作品「km」を監督、世界各地の映画祭でノミネートされ、2013年のMotovun Film Festivalでベストショートフィルム賞を獲得している。
第77回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門オープニング作品として選出された本作は監督の長編第一作。ヴェネチアでの上映後、作品の評判を耳にしたケイト・ブランシェットは監督の才能に惚れ込みエグゼクティブ・プロデューサーとして参加することを熱望し、新たにクレジットされたという。さらに、監督の次回作はケイト・ブランシェットプロデュース、キャリー・マリガン主演で製作が決定しており、二作目にしてハリウッドデビューを果たすことが決まっている。
日本での公開は3月11日(金)から、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開予定。
【ストーリー】
記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延する世界――。それでも男は毎日リンゴを食べる。
「お名前は?」「覚えていません」――。 バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。
覚えているのはリンゴが好きなことだけ。世界は、記憶喪失を引 き起こす奇病が蔓延し、
治療として「新しい自分」と呼ばれる回復プログラムが行われている。
毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッ ションをこなしていく。
自転車に乗る、仮装パーティーで友達をつくる、ホラー映画を見る。
そして、その新たな経験をポラロイドに記録する。
様々なミッションをこなして行く中で、ある日、男は、同じくプログラムに参加する
女と出会い、仲良くなっていく。
しかし、「新しい日常」に慣れてきた頃、男は忘 れたはずの以前住んでいた番地を
ふと口にする・・・。「哀しい記憶だけ失うことはできませんか?」口数の少ない主人公が
治療を通して心に宿した本当の思いとはーー?