ギリシャのスポーツ界で、新たな性的虐待が今、白日の下にさらされたことが大きな問題となっている。
今回告発に至ったのは、2004年アテネオリンピックの女子セーリング470級で金メダルを獲得したギリシャのソフィア・ベカトル。彼女の証言によれば、1998年(平成10)当時21歳のベカトルは現在ギリシャ・セーリング協会の副理事長の立場にある者から性的暴行を受けたという。本来であればスポーツに係わる全ての者が守られるべき一大イベントにおいて、艇のバディのエミリア・ツルファ(アマリア・ツルファ)とともに2000年シドニーオリンピックの出場権を得た1998年から、彼女の悪夢は始まったと告発。2004年アテネ五輪、2008年北京五輪でメダルを獲得したセーリング界のトップアスリート自身が、1998年に開催されたオリンピック予選の後、とある連盟スタッフとともに宿泊先に戻った時に受けた性的暴行について今、明らかにした。
ベカトルは告発当初、彼女に性的暴行を行った者の名前を告白しなかったものの、ギリシャセーリング連盟は声明の中で今回の事案について公式にも非公式にも事前に知らされていなかったと述べ、ベカトルに対しより具体的な内容について公表するよう促した。
このベカトルの告発に対し、世界中から大きな反応がある中、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相、リナ・メンドーニ文化体育相、スピロス・カプラロス・ギリシャオリンピック委員会理事長らが彼女への支援を表明。またギリシャのカテリナ・サケラロプル大統領は18日(月)14時ベカトルとの会談を実施した。
今回の告発が世に明らかになった後の16日(土)ギリシャ・セーリング協会は当該の連盟副理事長に対し辞任を要求するとともに、事態の完全な解明までギリシャオリンピック委員会におけるあらゆる職務からの辞任を要求した。
更に17日(日)にはギリシャのスタヴロス・ニアルホス財団がギリシャセーリング連盟に対するスポンサーシップの終了を表明。また2016年リオ五輪のセーリング・男子470級で銅を獲得したギリシャセーリング界のトップアスリート、パナヨティス・マンディス‐パヴロス・カヤリスの二人はギリシャセーリング連盟の委員会のあらゆる職務からの辞任を発表した。
ギリシャの法律によれば、既に本件の時効は成立しているものの、ギリシャ当局は本件に関する調査を開始、今週中に参考人としてベカトルを召喚する予定としている。
ベカトルの勇気ある証言に対し支援の波が広がるとともに、その他の女性アスリートも次第に自身の受けた性的虐待や暴行について重い口を開き始めている。