ヤア・サス(こんにちは)!ギリシアはテッサロニキのアリストテリオ大学哲学部でのんきに訪問研究員生活を送っている福田耕佑です。こちら「しがしが留学紀」と銘打った留学紀ですが、数か月前に第一回を書かせていただいて今回でやっと第二回です。「しがしがって、そっちかい」というツッコミが聞こえてきそうです(笑)
今回はギリシアでのコロナ・ウイルスによるロックダウン生活について少し書かせていただきます。パソコンのキーボードを叩いている今は5月4日(月)で、まさに今日ギリシアではフルのロックダウンが終わったところなのです。個人的には3月11日(水)に大学と図書館が封鎖されてから一つの区切りを迎えたなぁと思っています。主に留学生・研究者の視点からですが、情報を提供するというよりは、私個人の感想を少し記録として共有させていただければと思います。
やはりここまでのロックダウン生活は精神的に大変でした。はじめは本を読んで論文を書く時間が山のように確保できたのではないか、と一瞬は思いましたが、ずっと家にいるというこの初めての生活はとても大変でした。SMSで指定されたところにメッセージを送って外出許可を取り、一週間に一度ぐらい生活品を買いに行く以外全く外出もできませんでした。その外はというと、3月から5月へと時が流れていく中で気候が恐ろしいほどに美しくなっていきました。春先の2週間ぐらいは花粉症に苦しみましたが(ギリシアでも花粉症が出るんだなぁとびっくりしました)、日差しも暖かみが増し、葉や空の色が一気に明るくなって生気がみなぎっていき、花もほころびはじめました。こんなに美しくギリシアが様変わりしていくのをせいぜいベランダから見るしかないなんて、とどうすることもできずにただただ外を眺めていました。
自分の周りに関する限りですが、人々の行動は理知的でとても親切にしてもらいました。今回がはじめての外国暮らしで、理髪店に行ってこんな髪型にしてくださいと伝えるのもドキドキしたぐらいのものですから、それはそれはわからないことだらけでした。まさかこのような非常事態を外国で迎えることになるなどと夢にも思っていませんでしたので、かなり不安になりました。帰国すべきか、どうしようかと真剣に悩みました。ですがどんな時にも助け手はいるもので、たまーに買い出しに行く食料品店で親切に色々情報を教えてくれる方々や、こまめにギリシアの情報について連絡をくれた友人達にはとても助けられました。商店や郵便局で並んでいる間も特に外国人だという理由で何か特別な事態に合うこともなく、皆順番を守り、買い占めなどの現象もみられませんでした(かなり初期の段階で大型ショッピング・モールや美容室や学校は閉鎖されていました)。四月中頃までは天気が悪かった日が比較的多かったこともあり、道を歩いている人もあまりいなかったように思われます。ちなみに教会も早い段階で閉鎖されてしまっていました。
次は大学関係に関してです。個人的には図書館がいきなり封鎖されたのは痛かったです。それでも書店の方はしばらくは開いていましたし、オンラインでも書籍を注文できたので読むものには困りませんでした(文学とか哲学のことをやっているので四六時中こんな感じです)。びっくりしたのが、外国人向けのギリシア語の授業は大学が閉鎖されたまさにその日、3月11日(水)のお昼からオンライン(Zoom)で始まりました。よっぽど夏休みが少なくなるのが嫌だったのでしょうか、当局の指示も待たずに生徒たちのノリに先生が便乗するかたちで始まりました。この外国人向けのギリシア語のオンラインによる授業は今日まで正規の日程で進んでいます。また指導教官の講義もオンラインで四月から始まりました。
もともと黒板もチョークもPPTも使わずにずっと先生が教室を歩き廻りながら話すスタイルの授業ですので、パソコンのマイクの前に座って話しているだけでオンラインとオフラインの間で何の変化もなく、教授も満足そうでした。どうやらアリストテリオ大学では教務がしっかりしているようで、教室でもスクリーンやマイクのサポートを丁寧に行ってくれていましたが、オンラインに移行してからも、Skype for businessの使い方や技術的なサポート、様々な機器からオンライン上での次の授業の予約まで、滞りなく行われました。これら機器やアプリもどうやら大学が支給してくれているようです(あくまでも状況と先生の話に基づく推測です)。
今回は以上になります。少しとりとめもない話ばかりでしたね。明日からも用心して生活していきたいとは思いますが、またテッサロニキの留学生活についてお伝えできればと思います。次回もまたとりとめもないロックダウン解除(徐々に)下の生活についてお伝えしたいと思います。それではヤア・サス(さようなら)!