
東京2020オリンピックの開会式までちょうど1年前の2019年7月24日(水)東京2020オリンピックメダル、メダルリボン、そしてメダルケースのデザインが発表され、川西 純市(かわにし じゅんいち)氏のデザインが採用されたことが明らかになった。
しかし、2004年のアテネ五輪から、国際オリンピック委員会により規定されたおもて面のデザインー第1回近代五輪が開催されたアテネのパナシナイコスタジアムに立つ勝利の女神ニケ像-をデザインしたのが、国内外で活躍するギリシャ人デザイナー、エレナ・ボツィであることはご存じだろうか。
国際オリンピック委員会が主催し2003年に行われた国際コンペティションで、彼女のデザインは1928年のアムステルダム大会から2000年のシドニー大会まで使用されたイタリア人のジュゼッペ・カシオーリによる勝利の女神ニケとローマのコロッセオのデザインに代わって、オリンピック発祥の地・ギリシャに由来するデザインとして採用された。

東京2020のオリンピックメダルのデザインが発表されたこの機会にGreeceJapan.comは各大会のメダルに将来にわたって刻まれるニケ女神とパナシナイコスタジアムをデザインしたボツィ氏にコメントを依頼したところ快諾。自身のデザインについて、また東京2020について彼女の思いを寄せてくれた。
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すべては2003年、私がオリンピックメダルのデザインの刷新に関する国際コンペティションへの参加要請を受けたことにはじまりました。この時私の心には畏怖の念、不安、そしてこれほど大きなプロジェクトに参加することへの名誉といった様々な思いが渦巻いていました。こうしてオリンピック委員会とコンペティションのファイナリストたちとの数え切れない会合の後、最終的に私のデザインが故郷ギリシャで開催される2004年アテネ大会のオリンピックメダルに刻まれると通知されたのです。
そして私にとって何より名誉なことは、国際オリンピック委員会が私がデザインした勝利の女神ニケと「カリマルマロ」と呼ばれるパナシナイコスタジアムのデザインを、オリンピックメダルのおもて面のデザインとしてアテネ大会以降も採用すると決定したことでしょう。
奇しくもこの素晴らしい知らせを受けたの同じ日に、私は息子ニコラスをこの身に宿したことを知りました。この日が私の人生でもっとも幸せな一日であったことは間違いありません。
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オリンピックメダルのおもて面を飾る自身のデザインを見る時、また私が生み出した作品を胸に表彰台に上る世界のトップアスリートたちを思う時、私はこの上ない感動と誇りを感じてやみません。
そして今、この時こそ、2020年東京で友好と平和、協力と連帯のメッセージを伝えるための架け橋となるためギリシャのデザインが長い歴史を持つ称賛すべき日本の文化と結びつく素晴らしい瞬間なのです。このメッセージはこれまでにない、今まさに世界が必要としているものとなることでしょう。
エレナ・ボツィ
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バイオグラフィー
ギリシャ人ジュエリーデザイナーのエレナ・ボツィは、尽きることのない彼女のインスピレーションの源であり、また自身初のショップを開いたエーゲ海に浮かぶ島・イドラ島の出身。
アテネ美術学校で絵画を学んだ後、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでジュエリーを学んだ彼女は早くからアクロポリス博物館、アテネのギリシャ国立キクラデス美術館をはじめ、グッチやラルフローレンといった国内外の美術館や有名ブランドとコラボレーションを実現。またヨーロッパやアメリカで行われた数多くの展覧会やアートプロジェクトに参加。これまで故郷イドラ島の「イドラ市の鍵」をデザインしたほか、ギリシャ・ケルキラ(コルフ)島で行われたEU各国の代表者らによる首脳会談の記念品などをデザインしている。