クレタ島に生まれ、旅を愛したギリシャの誇る世界的作家ニコス・カザンザキス(1883-1957)。映画化された『その男ゾルバ』、『キリストは再び十字架につけられる』、『最後の誘惑』といった代表作を通じて日本でも彼の作品に親しんだ人は少なくないでしょう。
そんなカザンザキスの重要な作品である『禁欲(Ασκητική)』と『蛇と百合(Όφις και κρίνο)』が新訳を得て今年2018年秋日本でオンデマンド版として出版されることになりました。今回GreeceJapan.comでは出版を祝し、翻訳者のお二方からお話を伺いました。
[ 著者に聞く:『蛇と百合』訳者・其原哲也氏 ]
訳者紹介:其原哲也(そのはら・てつや)
1973年、神奈川県生まれ。1993年、法政大学文学部哲学科入学。在学中の1995年に、阪神淡路大震災発生。ボランティアとして神戸市長田区に赴く。活動で出会ったNGOピースボートで、同年世界一周の船旅に参加。途中寄港したギリシャで、カザンザキスのお墓に詣でる。帰国後大学中退。独学で現代ギリシャ語を学び始める。朝日カルチャーセンター現代ギリシャ語を受講、木戸雅子先生、柳田富美子先生に師事。2012年ギリシャ語検定試験Α2レベル取得。2013年、テサロニキ夏期講習に参加。
『蛇と百合』はカザンザキスの文学デビュー作です。
皆さんはカザンザキスと聞いて何を思い浮かべますか。『その男ゾルバ』のゾルバやマダム・オルタンスでしょうか。『最後の誘惑』の“悩めるキリスト”でしょうか。それらのキャラクターたちを生み出した感性の原型がここにあります。
この時代、何か息苦しさを感じる人がいるかもしれません。この本を手に取り読んで、少し考えてみませんか。今を生きるヒントがここにあるかもしれません。
ニコス・カザンザキス『蛇と百合』(其原哲也・訳/京緑社)Amazon オンデマンドで好評発売中!