1883年のきょう、2月18日は、誰にも従わない破天荒な生き様で見る者を魅了するギリシャの男・ゾルバを描いたマイケル(ミハリス)・カコヤニス監督の映画「その男ゾルバ( Zorba the Greek)」で知られる現代ギリシャ文学界でもっとも重要であり、またその作品がもっとも多くの言語に翻訳された作家ニコス・カザンザキス(1883 – 1957)の生まれた日だ。
クレタ島北部のイラクリオンに生まれたカザンザキスは1906年に処女作「蛇と百合」を発表して以降、小説・劇作・紀行文をはじめ数多くの作品を世に残した。「その男ゾルバ」だけでなく、「キリストは再び十字架につけられる」はジュールズ・ダッシン監督により「宿命(1957年)」として、また「最後の誘惑(1988年)」はマーティン・スコセッシ監督により映画化された。
旅を愛したカザンザキスは日本へも訪れており、1938年には旅行記「旅路で:日本‐中国」を著し、心に刻まれた日本の美しい姿を称賛した。
1935年の日本への初めての旅から22年後の1957年、作家は二度目の日本への旅を果たすが、これが彼にとって最後の遠方への旅となった。この旅から数ヶ月後、カザンザキスは静かにこの世を去った。
クレタ島に残る墓碑に刻まれた「何も望まない/何も恐れない/私は自由だ (Δεν ελπίζω τίποτα / Δε φοβούμαι τίποτα / Είμαι λέφτερος)」は、作家の没後半世紀以上を経た今もなお、人々の心に強い印象を残し続けている。