ギリシャで最も有名なある音楽一家の姿を描いたアンゲリキ・アリストメノプール監督のドキュメンタリー映画「ミア・イコイェニアキ・イポセシ(原題:家庭の事情/Α Family Affair)」が1月8日(木)からギリシャ各地の映画館で公開される。製作はANEMONとNEPIT。
このドキュメンタリー映画が追うのは、ギリシャで最も有名な音楽一家であるクレタ島のクシルリス一家だ。
類まれな声をもち、伝説の歌手として今も多くのファンをもつニコス・クシルリス(1936‐1980)とその二人の兄弟で著名リラ奏者のプサランドニスと最高のラウート奏者プサロヤニスをはじめ、彼らの子供たちと孫たちまでの3代に渡る「クシルリス一家」が、一家に脈々と伝わる音楽の伝統を今に守りつつ、世界中に発信し続けるその様子をいきいきと映し出している。
映画ではニコス・クシルリスの兄弟のひとりプサランドニス(アンドニス・クシルリス)の息子でラウート奏者のプサロヨルギス(ヨルゴス・クシルリス)を中心に、メルボルンで学ぶ彼の3人の子供たちと父プサランドニスらを2年間に渡って追い続け、家族間の葛藤、音楽家としての奮闘の日々、そしてそれぞれが導き出した人生の決断を描いている。
また、この映画は単なるある一家のドキュメンタリーに終わらない。
観客たちにクレタ島の伝統や祝祭・婚礼といった日常生活の中に生き続けるクレタ音楽の伝統を知るきっかけを与え、そして何よりも3世代の異なる世代がどのようにしてみずからの伝統を継承していくのか、その答えのひとつを提示している。